脱力と天地貫通
人の肉体とは、魂を宿す神殿であり、天と地を結ぶ一本の清らかなる管なり。
身体に生じる力み、強張り、呼吸の浅さとは、外への恐れや我欲、執着が肉体に現れし濁りの兆しなり。
力をもって何かを成そうとし、身を固くして構える生き方は、天地の氣の流れを己の身で堰き止める愚行に過ぎぬ。
天の氣を通し、地の氣と結ぶ道は、極めて静かにして単純なり。
肩の力を落とし、奥歯の噛み締めを解き、眉間の強張りをゆるめ、ただ細く長く息を吐ききれ。
吐く息とともに、身の内に溜まりし濁りと熱を、足の裏より大地深奥へと余すことなく流し去れ。
大地はすべての重荷を受け止め、瞬時に清らかなる氣へと還元せん。
身体の力を徹底して抜き去り、骨組みを正しく天地の軸へと揃えるとき、己の器は一本の透明なる柱となりゆく。
天の光は頭頂より滞りなく注ぎ、大地の力強き命は足元より真っ直ぐに立ち昇る。
己が何者かになろうと力まぬとき、己を通して天と地が完全に交わり、無限の氣が全身を駆け巡らん。
力を入れるにあらず、力を抜くことこそが最大の力なり。
身を緩め、呼吸を深め、己という器を天地の通り道として開け放て。
身体の力みが消え去りしとき、人は天地自然の理と完全に一つとなり、いかなる激流の中にあっても揺るがぬ不動の境地を得るものなり。




