神話の真実に迫る・その34
アマテルの時代、日本建国以来はじめての内乱が起こります。
神代のときの政り事を揺るがした、ハタレの乱です。
その根本の原因ともなったアマテルの弟のソサノヲについて触れてみましよう。
ソサノヲは忙しい両親にあまりかまってもらえず、寂しい子供時代をおくったようです。
母親のイサナミが亡くなってからは、赤子のとき、カナサキ夫婦に預けられた、長女ヒルコヒメ(ワカヒメ)が、熊野に、引き取られておられましたので、ワカヒメによって育てられました。
幼い頃から、ソサノヲはわんぱくで、イサナミの死は野焼きの火が燃え移ったという説や、ソサノヲの火遊びで、火を、消そうとしたイサナミに火が燃え移ったという説がありますが、もしも、ソサノヲの火遊びが原因で、母親を亡くしたとするなら、心の中は、苦しくいつまでも引きずっていたことでしよう。
それに偉大すぎる兄アマテルの存在にソサノヲは精神的にも打ちひしがれながら、育ったことでしょう。
父のイサナギからネの国(北陸)に赴任せよとのミコトノリをいただいていたにもかかわらず、なかなか実現しませんでした。
八代アマカミアマテルは弟の幼年時代からの悪童ぶりを考えるとアメノミチを理解していないときに、位を与えるのは良くないと、考えていました。
朝廷の武力を伴った権力をヲノコンといい、それはつかわれなくても、人々を威圧する力があります。
武力、権力の根底には、アメノミチが備わってなくてはならないためそれを理解してないであろうソサノヲに、アマテルはクニカミを任命することができないでいました。
けれども、父、イサナギのミコトノリをいただいていた為、ソサノヲはネの国とサホコチタル(山陰道)にいくことになりました。
神話の真実に迫る・その35
ソサノヲは島根県、佐陀(サタ)の粗長アシナツチの弟である、アカツチの娘をトヨケが祀られているアサヒミヤで見初め、求婚します。
アカツチはその申し出を承諾されました。サホコ(山陰道)でソサノヲは上手く、自分の居場所を確保できるかに見えました。
しかし、ソサノヲの結婚は、アマテルの承諾も受けない先走った行動に結婚のための新しいミヤを造れるかどうかを長い神議(カミハカリ)の末、結局、許されず、結婚は破談となりました。
失意のソサノヲは、朝廷に戻されるとネ(北)の后であるネのクニ出身のモチコ、ハヤコ姉妹のもとに同情を求め通いつめました。
悪い事に、ハヤコはスサノヲに夢中になり、陰の愛(密通)に明け暮れていました。
中宮のセオリツヒメはモチコ、ハヤコ姉妹とスサノヲの関係に薄々気づいていましたがアマテル様のお立場やお気持ちを、お察しになり、長い間ご自分の胸の中にのみ秘められておれました。
しかし、このままではアマテルの耳に入ってしまうのは、時間の問題だと考えられ、ある日、セオリツヒメは姉妹を
内宮にお呼びになり、しばし暇を与えますので、暫く退き、おやすみなさいと仰せになりました。
アマテルが一緒に住みたいとお考えになられ中宮制度を設けられた程の、お美しく、聡明で、心優しいセオリツヒメでした。
二人を外に出している間に、ほとぼりの冷めるのを待たれようとされたのでした。
そんなセオリツヒメの心中など、理解できるわけもない姉妹とソサノヲでした。
そもそもモチコは自分が先に男の子を生んだというのに、正后の子が継子とされた事で、セオリツヒメを大変恨んでいました。
また、正后以外の后達は、ただ子供を授かるために、年に、一ヶ月のみアマテルのお世話をするだけで、あとは寂しい日々だったことでしょう。
恨みは頂点に達し、ハヤコはソサノヲに、悔しいなら天下をとれと、つまり、アマテルを討ちアマカミになりなさいというような事を、持ちかけてあろうことか、内乱の企みを話し合い始めました。
モチコ、ハヤコの二人の姉妹が嫉妬のあまり、オロチと化した瞬間でした。
後に神話で語られることになるソサノヲのオロチ退治のもとになるお話です。